プルーンとは

  1. 特徴
  2. 栽培の歴史
  3. 日本での栽培
  4. プルーンの効能
  5. プルーンの品種

1.特徴

プルーンとスモモ

プルーンはパラ科サクラ属のスモモ亜属に属する果実でスモモの一種になります。スモモは原産地によっては幾つかの種類がありますが、ユーラシア系のドメスチカスモモに属する乾果に属する系統をプルーンと言います。
日本ではドメスチカスモモ全体をプルーンと呼びます。
ヨーロッパでは生のスモモをプラムと呼び、乾燥したものをプルーンと呼ぶことが多いようです。ちょうど、ブドウをグレープ、干しブドウをレーズンと呼ぶのと同じです。

プルーンの木と果実

プルーンは高さが4m以上になる木で、花は長野県の佐久地方では4月末から5月初め頃、梅に似たかわいらしい白い花が咲きます。
プルーンは品種により自家受粉しないものもあり、ミツバチが受粉を助けます。
受粉した花は6月から大きくなり始め、早い品種では7月末に結実します。
佐久地方で多く栽培されているサンプルーンは9月中旬に完熟します。
果実の色は黄色、紫紅色、青紫色と様々で、果肉は琥珀色になり、果肉が厚いわりには種が小さく、かぐわしい香りがします。
また、果肉と種はすぐに離れて食べやすいことも特徴です。

ブルーム(表面の白い粉)

果実の表面にはブルームと言われる白い粉状の果粉がついています。これは果実の最も外側の皮のクチクラ層に含まれているもので、雨や朝露などの水分をはじき病気を予防したり、また果実の水分の蒸発を防いで新鮮さを保つ働きがあります。
果実自身が作ったもので栄養は果皮と果肉の間に多く含まれていますので皮ごとそのまま食べてください。

2.栽培の歴史

プルーンの原産地

プルーンの原産地は、西アジアの長寿地帯とされるカスピ海と黒海に挟まれたコーカサス地方といわれています。そこから南ヨーロッパに定着し、ギリシャ・ローマ時代には優れた薬用果樹として珍重されました。欧州に伝播し、その後フランスを中心に栽培されました。
19世紀中ごろにはアメリカやオセアニアへと広がってきました。現在では、世界のプルーンの70%がカリフォルニア州で栽培されています。栽培の歴史は、2000年ほどで4000年の歴史のあるリンゴと比べると比較的歴史の浅い果物です。ローマ時代の「博物誌」に、プルーンが栽培されていたことが書かれています。
日本には、明治初期に、気候が似ている長野県と東北地方で少し栽培されましたが、定着はしなかったようです。その後、昭和30年代後半に長野県佐久地方の臼田町で栽培が再開され、現在では長野県、北海道そして青森県で栽培されています。

栽培適地

プルーンは、少雨で乾燥地域を好み、夏に雨が少ない地中海性気候の地域が適していて、東欧、地中海沿岸地方やアメリカ西海岸で広く栽培されています。
欧米では、干しブドウとともにプルーンの乾果が貯蔵食品として利用されています。
日本では、地中海性気候と似ていて、雨が少なく、夜の温度が大きい長野県、北海道や東北地方で栽培されています。
プルーンは、昼の太陽を十分浴びて糖質、たんぱく質そしてミネラル等成分を作ります。夜に気温が下がると呼吸作用も抑制され、昼間に作った成分を消費しないで蓄えます。
そのため、昼間の気温が高く、夜の気温が低いと実が充実して糖度が上がり、品質の高い果実が採れるのです。また、雨が少ないと、土壌からミネラルを吸収しやすくなります。

3.日本での栽培

プルーン発祥の地 佐久地方

日本にプルーンが入ってきたのは明治初期で、気候が似ている長野県と東北地方で少し栽培されましたが、定着はしなかったようです。
その後、昭和初めに軽井沢の教会に来た外国人宣教師によってプルーンが植えられ、それを長野県の臼田町の土屋喜八郎氏が自分に庭に接木して栽培し始めましたが、戦争で中断してしまいました。昭和30年代後半に臼田町で栽培が再開され、最初は、「ブドウ・スモモ」と名づけたようです。
そして、昭和45年に長野県の佐久地方を中心に水田転作用の作物として栽培が広がりました。昭和55年には、プルーンが健康食品として注目され始め、全国各地に栽培が広がり本格的にプルーン栽培が普及し始めました。その後、プルーンジャム、ジュース、ワイン等が開発されています。

日本でのプルーン栽培の歴史

明治初期 日本に導入され、気候が似ている長野県と東北地方に入ったが、少し栽培されただけで、日本には定着しなかった。
昭和初め 佐久に導入。軽井沢の教会に来た外国人宣教師によって植えられたのが始まり。臼田町の土屋喜八郎氏が自分に庭に接木して栽培を始めたが、戦争で中断した。
昭和30年代後半 臼田町で栽培が始まる。最初は、「ブドウ・スモモ」と名づけた。
昭和45年 佐久地方を中心に水田転作用の作物として栽培が広がる。
昭和52年 臼田町農協において商品名「プルーン」で初めて市場出荷され、好評を博す。
昭和54年 佐久地方において、在来種の中から優良系統が選抜され、「サンプルーン」と命名される。
昭和55年 プルーンが健康食品として注目され始め、全国各地に栽培が広がり、本格的にプルーン栽培が普及し始める。
昭和60年代 雨よけハウスの導入。ワイン、ジュース、ジャムの開発。

日本でのプルーンの生産量

2008年のプルーンの生産量は全国で3,169トン、そのうち長野県での生産量は1,960トンで、日本の生産量の61%を占めています。
特に佐久地域は、プルーン生産の発祥地で、県内はもとより全国的にみても良質のプルーンが生産される先進的な産地として知られています。長野県のプルーンの約3割を生産しています。
ちなみに、日本における2006年のリンゴの生産量は85万トン、スモモは2万トン。プルーンの生産量はリンゴの1/250、スモモの1/6です。

4.プルーンの効能

プルーンには、ビタミン類やカリウム、鉄分等のミネラルが豊富でまた食物繊維を多く含んでいるので、健康食品として注目されています。
欧米では、その機能性の高さから、「奇跡の果実」とも「驚異の果実」とも言われ、朝食に食べる習慣があるほどなじみの深い果物です。
プルーンには、ビタミンB1,B2そしてビタミンEのビタミン類が多く含まれ、またカリウム、カルシウムそして鉄分が多く含まれています。脂肪分ゼロ、コレステロールゼロの健康的な食品といえます。

プルーンの栄養素の機能

■カリウム
カリウムは、細胞の浸透圧の調節や活性を保つ役割を担っています。また、カリウムは、体内のナトリウムが過剰となったときに、ナトリウムを体外に排出して、血圧を降下するように作用します。

■カルシウム
カルシウムは、骨の主要構成要素です。カルシウムが不足すると、骨がもろくなったり、神経が過敏になる症状があらわれます。

■鉄
鉄分が不足すると、貧血になったり、身体が疲れやすくなったりします。

■ビタミン類
抗酸化物質であるビタミンEやビタミンCは、体と脳の老化進行を遅らせる働きがあることが分かっています。

■食物繊維
食物繊維は、貧血・肌荒れ・整腸作用や便秘解消に効果があるといわれています。

■血液さらさら効果
JA全農長野と山浦由朗(長野女子短期大学)は、2005年の日本ヘモグロジー学界で、プルーンには、血液サラサラ効果があるとの発表しています。

5.プルーンの品種(一例)

アーリーリバー

・1834年にイギリスで選抜された極早生種
・20~30gと小玉、紫黒色
・糖度は15~16%程度。酸味は中程度
・果汁が多く適度な酸味でさわやかな味
・完熟すると濃厚な味わいになる
・ジャムには最適な品種で、鮮やかな赤色となる
・収穫期:7月下旬~8月初旬

オパール

・スエーデンの品種
・40g程度と中玉
・糖度は16%
・果皮は紅紫色で、果汁が多く甘い
・果汁が多く食味が良いのが特徴
・宝石のオパールと色が似ているので命名された
・収穫期:8月初旬

サンタス

・ベルギー生まれのプルーン
・40~50gと中玉
・早生種の中でも、最も大きい粒のプルーン
・果皮は黒紫色で果肉は黄色
・糖度16%、果汁が多くやや酸味がある
・収穫時期:8月初旬~中旬

ツアー

・イギリス生まれのプルーン
・30g程度と小玉で丸みを帯びている
・果皮は黒紫色で果肉は濃黄色
・果肉は密でしまり、歯ざわりが良く果汁は多い
・糖度は15%程度。少し酸味がある
・完熟すると濃厚な味わいとなる
・収穫期:8月上旬

チューアン

・果実の大きさは中玉(40g程度)
・果形は短楕円形
・果皮は紅紫色に着色し、食味は良好
・収穫時期:8月中旬~下旬

シュガー

・古くから日本にあったプルーンの代表
・果実の大きさは20-30g
・外観は赤紫色で美しい
・糖度は15度
・酸味が少なく、名前のとおり甘い品所品種
・収穫期 8月上旬~中旬

くらしま早生

・長野市の倉島氏が開発した品種
・「ローブドサージェン」×「スタンレイ」の交配種種
・大きさは40g前後 やや楕円形
・糖度は17~20%と高く、酸味が少ない
・収穫期 8月下旬~9月初旬

サマーキュート

・長野県果樹試験場が開発した新品種
・「ベイラー」×「シュガー」の交配種
・8月下旬に成熟する中生種で
・果形は楕円形で、大きさは50~60g前後の中玉
・果皮色は赤紫色でやや淡い
・果肉色は橙色で果汁は多く、糖度は20%前後
・果実の日持ち性がよい
・紅紫色に着色し外観に優れていて、食味良好
・収穫期 8月下旬~9月初旬

ローブドサージェン

・古くから日本に導入されたヨーロッパ種
・40~50g程度の中玉、淡赤紫色
・糖度は17~18%とプルーン中で最高クラス
・酸味は少なくて濃厚な味
・収穫期:8月下旬
・果汁が多くてとても甘い濃厚な味わい

くらしま

・長野市の倉島貞子氏が開発した品種
・「ローブドサージン」×「プレジデント」の交配種
・果皮は黒紫色
・果実は70gと大玉品種
・糖度17%、
・収穫期:9月上

サンプルーン

・佐久地方で選抜された品種
・プルーンの代表格の品種
・果実は30g程度と小玉、紫黒色
・糖度は18%以上と高く、酸味も適度にある
・味が濃く、糖度が高いことで知られている
・甘みと酸味のバランスが良く、食味が優れている
・収穫期:9月中旬~下旬

オータムキュート

・長野県果樹試験場が開発した新品種
・「ベイラー」×「プレジデント」の交配種
・9月下旬に成熟する晩生種です
・果形は楕円形で、大きさは70~80g前後の中玉
・果皮色は青紫色となり外観に優れます
・果肉色は橙色で果汁は多い
・糖度は22%前後
・果実の日持ち性がよい
・収穫期:9月中旬~下旬で「プレジデント」よりも1週間程度早い

プレジデント

・アメリカ生まれのプルーン
・プルーンの最後を飾る大玉種で、まさにプルーンの
 大様の品格
・90~100gと大玉、青紫色
・糖度は16%程度
・酸味はやや強く、濃厚な味わい
・酸っぱいのが好きな人に人気がある
・果肉は黄色で肉質はやや固め
・かぶりつきたい方にオススメ
・収穫期:9月下旬~10初旬